週の勤務日数が決まっていないパートタイマーには、何日の年次有給休暇を与えなければならないのか、また日によって勤務時間の長短があるパートの年休取得日の賃金はいくらにすればよいのかという問い合わせは非常に多いものです。
年次有給休暇の適用にあたっては、週の勤務日数で定めたいのですが、そう簡単にはいかない変則勤務も現実に存在します。その場合、どのように考えたら良いのか。平均の週勤務日数で計算しても良いのか。また、実際に年休を取得した場合、現実には「時給×平均勤務時間」の支給で足りるのか。パートタイマーを雇用する事業主の方には非常に難解な部分です。
パートタイマーだからと言って年次有給休暇がないというものではありません。正社員よりは少ない日数ですが、年休は発生します(比例付与といいます。下記の計算式参照)。また、週所定勤務時間が30時間以上、あるいは週所定勤務時間の長短にかかわらず週所定日数5日以上の場合は、正社員と同じ日数の年次有給休暇が発生します。なお、週の勤務日数がまちまちの場合は年間勤務日数で付与されることになっています。
年次有給休暇の比例付与に使用する日数計算式
通常の労働者の付与日数 ×(比例付与対象者の週所定労働日数 / 5.2日)
問題は、月曜日は3時間、水曜日は5時間というように、曜日により勤務時間に長短がある場合に、月曜日と水曜日の年休行使により支払う給与に差が発生するかです。法的には、月曜日は3時間分、水曜日は5時間分でよいのです。不公平感はありますが、自分自身で選択して休みをとるのですから、損得はないともいえます。実務的には1日当たりの平均所定勤務時間で算出したほうが合理的だと思います。
週の勤務日数が5日以上か、勤務時間が30時間以上の場合には、たとえパートタイマーでも年休は正社員と同様に取り扱わないと労基法に違反します。
勤務曜日 | 勤務時間 | 休暇を取った場合の賃金 |
---|---|---|
月 | 3時間 | 時給×3時間分 |
火 | 4時間 | 時給×4時間分 |
水 | 5時間 | 時給×5時間分 |
※実際の運用に当たっては「時給×平均勤務時間(1日当たり)」で計算した方が便利