労務管理のススメ PERSONNEL MANAGEMENT

3-2 年休の取得と賞与でのマイナス評価

賞与を評価するにあたって、年次有給休暇を取った場合、マイナス評価してもかまわないかという考え方があります。会社によっては賞与評価のひとつに勤怠状況があります。欠勤が多い社員より、出勤がきちんとしている社員のほうが当然評価に値すると会社は考えます。しかし、社員にしてみれば、年休取得は欠勤ではなく出勤と考えるもののはずです。年休の取得状況を評価の対象にすることは容認できません。

年次有給休暇の趣旨からは、休んでも給与等が減額されないところに意義があるのに、取得することによって賞与が減額されてしまうのであれば、その意味は半減します。たしかに、賞与は給与とはことなり、業績や社員の評価を反映する制度ですが、年休取得で減額評価されるようであれば社員は取得を控えてしまいます。

労動基準法では、年次有給休暇を取得した社員に対して、給与の減額その他の不利益な取扱いいをしないようにと規定しています。
年休を取得したことによって、月給から皆勤手当を減額したりするようなことも当然できません。 では、賞与についてはどうでしょうか。賞与評価の一つに勤怠状況がある会社もあると思います。欠勤が多い社員より、きちんと出勤している社員を高く評価するのは当然です。しかし、年休取得は欠勤ではなく出勤として扱わなければなりません。つまり、年休取得によって、賞与評価が変わることは認められません。

年次有給休暇の取得に伴う不利益取扱いについては、従来、

  1. 年休の取得を抑制する効果をもち、法第39条の精神に反するものであり
  2. 精皆勤手当や賞与の減額等の程度によっては、公序良俗に反するものとして民事上無効と解されると考えられる

という見地に立って、不利益な取扱いに対する是正指導を行ってきたところであるが、今後は、労働基準法上に規定されたことを受けて、上記趣旨を更に徹底させるよう指導を行うものとすることを考えれば当然です。賞与の評価はあくまでも仕事に対する貢献度で判定してほしいと思います。