労務管理のススメ PERSONNEL MANAGEMENT

6-2 始末書提出を無視する社員

無断欠勤が頻繁に続く社員に譴責処分として始末書の提出を求めましたが、無視されることがあろうかと思います。かといってこのまま放置しておくこともできず、会社としては対応に苦慮する事例です。

始末書を提出させることによって反省を促さなければ意味がありません。社員に勤務態度改善の兆しがなければ、会社としては指導の手詰まりになるし、職場のモラールも低下します。

秩序を乱す行為に対しては会社が経営権の行使として懲戒処分を課すことができます。ましてや、このケースでは、無断欠勤です。また、命令に反して始末書を提出しないのですから、業務命令違反も新たに発生していると考えることができ、減給や出勤停止、さらには最も重い懲戒解雇で臨むこともやむを得ません。判例でも認められています(水戸地判昭3796)。

始末書というものは、強制になじまないものという意見もあります。しかし、本人が始末書に内心を記すかはともかく、ルール違反を改めるよう意思表示する文書を提出させることは、職場秩序維持の観点からは合理性もあり必要なものです。

会社としては始末書の提出によって反省し無断欠勤をなくすよう改善されなければ、もはや不要な人材であることをはっきり示すことが重要です。なお、始末書は懲戒にとどまらず、昇給や賞与評価の参考にすることも承知させるべきです。

懲戒の事実があったときには、遅滞なく始末書を書いてもらうようにしましょう。