労務管理のススメ PERSONNEL MANAGEMENT

3-1 労働時間の考え方

1. 労動時間とは

労働時間とは何か。一般的には以下のように考えられています。

労働時間とは、休憩時間を除いた実働時間をさし、休憩時間をも含めた拘束時間と異なる。また、実働時間とは、労働者が現実に労働に従事している時間だけでなく、労働者の労働力がなんらかの形で使用者の指揮命令下におかれている時間をいい、したがっていわゆる手待時間(たとえば販売店の従業員が買物客のくるのを店内で待っている時間)は、当然労働時間に含まれる。

この「指揮命令下」というのも、実務上大切な考え方になります。 ここではっきりしていることは、何かしら手を動かしたり、会議で発言している時間だけが労働時間ではないということです。
仕事をしないで考え事をしていたからといって、その時間を勤務と認めず、時間相当の賃金を差し引くことは、労働時間の定義に限って言えば、やってはいけません。
これは、職場の労務管理や懲戒など、別の問題としてとらえる必要があるということです。

2. 労動基準法の定義

労働基準法では労働時間は1日8時間、1週40時間と定められています。それを越える部分は時間外労働として、所定内賃金とは別に手当を支払わなければなりません。 これが大原則です。
ここでいう「労働時間」とは、休憩時間を除いた、いわゆる「実働時間」を指します。
たとえば、始業9時、終業18時、休憩12時~13時となっていれば、拘束9時間、休憩1時間、実働8時間ということになります。
「1週」は、通常は日曜日~土曜日の「暦週」を意味しますが、就業規則で、別の決め方もできます。ただ、特別な必要性がなければ、暦週を使うのがいいでしょう。
「1日」は、午前0時から午後12時までの暦日を指します。それでは、残業が長引いて午後12時を過ぎた場合などはどうなるのでしょうか。この場合、暦日をまたがっていても1勤務として扱います。
それでは、今度は、徹夜になってしまった場合はどうなるのか。この場合は、徹夜明けの日の始業時刻までを、前日からの勤務時間としてカウントすることになります。

3. 労動時間になる例、ならない例

それでは具体的に、労働時間になる、ならないを、これまでの通達や判例から拾ってみます。

労働時間になる例

  • 昼休み中の来客当番
  • 黙示の指示による労働時間
    たとえば、管理者が部下に、明確に残業を指示していなくても、部下が法定労働時間を超えて仕事をし、それを黙認していた場合は、労働時間(残業時間)となります。
  • 終業時間外の教育訓練
    自由参加のものであれば、労働時間にはなりません。
  • 着替え時間
    着用を義務づけられた作業服などを、事業所内で着替える時間は労働時間になります。

(労務行政研究所「労働法全書」、中央経済社「労働基準法実務相談」より抜粋)

労働時間にならない例

  • 出張先への往復に要した時間
    出張中の移動時間は、労働時間になります。
  • 趣味の会の活動

(労務行政研究所「労働法全書」、中央経済社「労働基準法実務相談」より抜粋)

仮眠時間はどう考えるべきでしょうか。平成14年に最高裁は、「労働時間になる」という判断を示しました。これは、次のような事例です。

事例紹介

  • 対象はビル管理人
  • 仮眠室で仮眠を取ることができる。ただし、仮眠時間中に突発業務が発生した場合は対応しなくてはならない。したがって、警報や電話には、相応の対応が義務づけられている。

判決のポイント

  • 労働時間にならないというためには、使用者の指揮命令下から離脱している、つまり労働者が労働から離れていることを補償されている状態でなくてはならない。
  • 今回のケースは、仮眠室における待機と、警報や電話に対する対応が義務づけられている。したがって、この仮眠時間は労働基準法上の労働時間である。

つまり、仮眠時間といえども、何かあればすぐに対応しなければいけないような状況にある場合は、労働時間になるということです。