労務管理のススメ PERSONNEL MANAGEMENT

4-1 時間外勤務の定めかた

1. 時間外労働をさせる場合の要件

法律では、1日、1週間の労働時間には限度を定めています。1日8時間、1週間40時間を超えて社員に残業を命じるためには、次の4つの要件を満たすことが必要です。

  1. 労働協約、就業規則、労働契約のいずれかにその規定があること
  2. 過半数労働組合(ない場合は社員代表)との書面による「時間外労働・休日労働に関する協定届」(36協定)を締結し、労基署長へ届でること
  3. 36協定の内容は、厚生労働大臣が定める労働時間の延長の限度に関する基準以内とすること
  4. 坑内労働その他有害業務については、1日2時間を時間外労働の限度とすること
2. 時間外労働の限度

社員に残業を命じるためには、就業規則に「残業を命じる」という規定と、どれくらい残業させるのか、という36協定を労基署に届けることが必要です。 この限度時間は、下記に示した範囲内に定めることが必要ですが、

  1. 工作物の建設等
  2. 自動車の運転業務
  3. 新技術、新商品等の研究開発の業務
  4. 厚生労働省労働基準局が指定する業務

については適用除外となっています。

協定時間を仮に1ヶ月45時間、1年360時間とした場合は、この両方を満たすことが必要です。そのため、実務的には、1ヶ月30時間程度の残業しかできないことになります。どうしても特定の月だけは1ヶ月45時間を超える場合は、36協定に特別条項を記載すれば年6回を限度に可能となります。特条項には

  1. 特別の事情
  2. 特別に延長する場合の手続き
  3. 特別延長の時間

について定めることが必要です。

時間外労働の限度時間

(単位:時間)

原則 1年単位の変形労働時間制適用の事業場
1週間 15 14
2週間 27 25
4週間 43 40
1ヶ月 45 42
2ヶ月 81 75
3ヶ月 120 110
1年 360 320
3. 36協定の締結の仕方

36協定は書面により行うことが必要で、協定事項は次の通りです。

  1. 時間外又は休日の労働をさせる必要のある具体的事由
  2. 業務の種類
  3. 労働者の数
  4. 1日及び1日を超える一定の期間についての延長することができる時間又は労働させることができる休日
  5. 協定の有効期間の定め(労働協約による場合を除く)

1日を超える一定の期間は、1日を超え3箇月以内の期間及び1年間としなければなりません。つまり、36協定で延長することができる時間(延長時間)を定める場合、少なくとも、1日の延長時間、1日を超え3箇月以内の期間の延長時間、1年の延長時間を定めなければなりません。