労務管理のススメ PERSONNEL MANAGEMENT

2-2 試用期間の定め方のポイント

1. 試用期間の長さに注意する

試用期間についての法的な定めはないので、設けるかどうかは会社の自由です。ただし、設ける場合は、試用期間の長さ、短縮や延長の措置、退職金などの勤続期間の取扱いについて規定します。 試用期間の長さは、一般的には3ヶ月程度が多いようですが、「どのくらいの期間があれば適格性の判断ができるのか」を会社ごとに判断して決めて下さい。ただし、労働契約の問題もありますので、最長1年が限度だと考えられます。

2. 試用期間でも自由に解雇できるわけではない

試用期間の長さに関わらず、試用後14日を越えた場合には、通常の解雇手続が必要になります。通常の解雇手続とは、30日前に解雇予告するか、30日分の平均賃金(解雇予告手当)を支払うことによります。

試用期間の規定例

第○条 会社は新たに採用した従業員については3ヶ月間の試用期間を設け、会社への適性を判断します。
2 試用期間中に本採用の適性を判断できない場合は、この期間を短縮または 延長することがあります。
3 試用期間中の勤務態度・適性・人物・技能・業務遂行能力について会社が不適格であると認める場合解雇します。
ただし、14日を越える試用期間中の者を解雇するときは、第○条の定める手続きを行う。
3. 本採用を取り消したい

試用期間満了後に本採用を取り消したい場合にも、解雇と同じ手続きをとらなければいけません。つまり、通常の解雇手続きをとらなくてもよいのは、入社して14日以内となります。 したがって、トラブルにならないためには、14日以内に見極めてしまうか、2ヶ月程度の試用期間経過の際に正当な理由と1ヵ月前の予告を文書で明らかにし、試用期間満了をもって解雇する措置をとるべきです。 本採用の取り消しについては、通常の解雇理由よりも幅広く認められているので、具体的な事由について定めておくべきです。

本採用取り消しの規定例

第○条

試用期間中の従業員が次の各号に該当すると認めるときには、会社は採用を取り消し本採用を行いません。ただし、改善の余地があると会社が認める場合は再選考し、採用取消を留保します。

  1. 正当な理由なく欠勤、遅刻、早退、中抜けを繰り返すなど出勤状態が悪いとき
  2. 会社の就業規則など約束事を守らず、挨拶ができない、身だしなみが悪いなど、会社の注意にもかかわらず、マナーが悪く改善の余地がないとき
  3. 必要な研修や実習をしても仕事を覚えず能力不足であり、改善の余地がないとき
  4. 上司の指示に従わず、同僚との協調性も悪いとき、取引先に対しても迷惑をかけたとき
  5. 業務上必要な、重要な経歴や学歴を偽っていたとき
  6. 健康上、業務に耐えうる状態でないと会社が判断した場合(精神上のメンタルヘルス不全も含む)
  7. 必要な提出書類を提出しないとき
  8. 本人との面談においてやる気がないと本人が申し出たとき、または会社が認めるとき
  9. 就業規則の解雇事由に該当するとき