雇用調整は、さきに述べたように、
- 退職を伴わない雇用調整
- 退職を伴う雇用調整
とに区分されます。
社員との雇用契約を解除し、社員を企業の外へ放出するという方法をとると、雇用調整は一気に進みます。しかし、社会的にみると失業者が発生するという問題があります。このため、雇用契約を維持しながら雇用調整を進めるのが望ましいといえるでしょう。
雇用調整助成金は、雇用契約を在続させながら行う雇用調整のうち、一時休業、教育訓練および出向に対して、国が賃金の一部を助成するという制度で、雇用保険法に基づいて行われています。
雇用調整助成金の受給手続き
(出所)労働省「雇用の安定のために」
雇用調整助成金を受給できるのは、厚生労働大臣が指定する業種に属する事業主またはその事業主の下請事業主などです。なお、業種の指定を受けるためには、最近3カ月間の生産量、求人数および入職者数などが前年同期に比べ、おおむね5%以上減少していることが必要です。
雇用調整助成金の受給対象となる雇用調整は、一時休業、教育訓練および出向です。
それぞれについて、受給の条件が明確に定められています。このうち、出向については、
- 指定期間内に開始されるものであること
- 出向期間が3カ月以上であること
- 出向期間中の通常賃金が出向前の賃金とおおむね同じであること
- 労使間で出向協定が結ばれていること
- 出向元と出向先との間で契約が結ばれていること
などの条件がつけられています。
受給できる額は、休業の場合は休業手当の2分の1(中小企業は3分の2)です。教育訓練の場合は、教育訓練実施日に支払った賃金の2分の1(中小企業は3分の2)と、一定の訓練費です。また、出向の場合は、出向先が負担した賃金の2分の1(中小企業は3分の2)です。