時間外手当における単価計算にあたり、「基本給÷200」で時給単価を算出している会社があると聞いたことがあります。ここでは時間外の単価はどのように計算するものなのかをご説明します。
会社は時給単価が小さければ、時間外手当が少なくなり助かりますし、反対に、社員は損をすることになります。会社の中には単価計算に組み込まなくて良いものまで参入してしまっているケースもあります。
社歴の長い会社では「基本給÷200」という公式が労使の共通理解になっている場合もあります。特に時間については1日8時間勤務の25日出勤が基礎になっているようです。
法令どおり考えると、まず1カ月所定勤務時間をどう考えるかです。
月によって定められた給与についての1時間当たりの賃金(時給)は、その金額を月における所定勤務時間で除した金額と規定されています。しかも月によって所定勤務時間が異なる場合には、1年間における1カ月平均所定勤務時間でよいとされています。
面倒でも「1カ月平均所定勤務時間 = 年間所定勤務日数 × 1日の所定勤務時間 ÷ 12」で計算してみることです。
次に、時間外手当の算定基礎から除かれる給与は法令で定められています。
具体的には、仕事に関係しない家族手当、通勤手当、住宅手当、個人的事情に基づく別居手当、子女教育手当、さらに毎月ではなく臨時に支払われた給与や1カ月を超える期間ごとに支払われる給与については除外できます。
ただし、いずれも名目ではなく実質的判断が必要です。
とくに、住宅手当は家賃に応じて、家賃5万円は1万円の手当、家賃10万円は2万円の手当等のように費用に応じた手当の場合は問題なく、仕事とは無関係ですから、算定基礎から除外されますが、一律2万円の住宅手当等となると家賃とは無関係ですから、名目にかかわらず、算定基礎からは除外できなくなるのです。
したがって、給与体系を複雑にしないように設計すること(できるなら手当は減らす)で算入される給与の限定をはかることが先決です。いずれにせよ、200時間はまったく根拠になりません。現在の週休2日制であればせいぜい21日×8時間で168時間、多くて168時間程度の月間所定勤務時間となるはずです。直ちに計算式を訂正しなければなりません。
時間外手当の時給単価は、基本給だけで計算しないようにしましょう。