人事賃金制度のススメ SALARY SYSTEM

3-1 自社オリジナルの人事考課制度の設計はこう作る

1. 人事考課6つの要素から何を選択するか
(1)職種と階層で捉える

人事考課体系を組み立てる際は、階層と職種で考えます。
階層を縦軸に、職種を横軸に置き、何分類にすべきかを検討します。

人事考課表は全等級、全職種で作成するのが理想ですが、デメリットとしては、細分化によって職種別、階層別の難易度バランスが取れなくなる可能性が高いことが挙げられます。また、中小企業においては、管理面が煩雑になりすぎ、運用面で支障をきたす場合が多く見られます。
階層は、「管理職」「一般職」、職種は「スタッフ部門」「営業部門」「生産部門」程度の分類が適切です。

  スタッフ部門 営業部門 生産部門
管理職 1 2 3
一般職 4 5 6
(2)評価要素の選択

人事考課の対象の対象を決定することを評価基本要素の決定といいます。
選択肢は以下の5つの要素で網羅されます。

  1. 情意
    職務遂行に対する基本姿勢。態度や意欲。「規律性」「責任性」「積極性」「協調性」に代表される項目。
  2. 成績
    仕事の出来栄え。「質(正確さ)」「量(スピード)」に代表される項目。
  3. 能力
    仕事の成績を支える基礎となる職務遂行能力。「理解力」「表現力」「知識」「技術」「管理統率力」「企画力」「交渉力」等多くの項目がある。
  4. プロセス
    仕事の結果に至るまでの行程の評価。仕事を「結果」と「原因」に分け、原因を評価する考え方。行動面とそれを支える能力両面が含まれる。
    コンピテンシー(高い成果を挙げるための行動・能力規範)として扱う。
  5. 職務(役割)
    どんな仕事を行っているかに焦点を当てたもの。職務の幅と職務の深さの2方向から評価する。管理職においては役割に置き換えられる。
  6. 業績
    会社が求める成果基準(部門目標、個人目標)に対する達成度を評価する。
    営業だけでなく、スタッフ部門でも活用可能。
2. 人事考課制度構築に関与すべき階層は

人事考課制度の見直しで多く見られる失敗は、人事部門中心に人事考課制度が構築され、現場の声が反映されないために、現場の管理職からも受け入れられない制度になってしまうということです。
現場の指揮を取る管理職から「こんな人事考課制度はダメだ!」と言われるようでは、人事考課制度の運用がうまく行くはずがありません。
このような失敗を避けるためには、人事考課制度プロジェクトチームを作り、各部門の管理職クラスでメンバー編成し、現場主導で要素の抽出を行っていくことが大切です。
現場の管理職が納得してくれる人事考課制度を作り上げることができれば、人事考課制度改定の半分は成功したと言えます。

3. 人事考課表の作り方

最初に、人事考課表に盛り込む基本要素を6種類の選択肢から決定します。
当然、複数の組み合わせになってきます。要素の選択までは、経営者、人事部門の責任者クラスで決定し、具体的な評価項目については人事考課制度プロジェクトチームで決定するのが望ましいでしょう。
人事考課に関する基本的な方向付けをディスカッションした後に、各種サンプルを使用して、プロジェクトメンバーによる投票を行うと、基本的な方向性が見えてきます。
多くのメンバーに投票された項目について、「なぜ重要なのか」を議論して、類似する項目の整理や、職種別、階層別に重要な項目をまとめ上げていきます。
人事考課項目数は多ければ多いほど緻密な評価になります。しかし、評価制度は社員に対して、企業が何を求めているかというメッセージを発信するものでもあ ります。したがって、項目が多いと社員に対するメッセージ性も弱まってしまいます。また各項目の重要度、優先度の焦点も定まらなくなります。妥当な評価項 目数は10から20の範囲内であると考えられます。

4. 評価ウェイトの付け方

どの基本要素を採用するかということについて絶対的な正解はありませんが、階層、職種別に重要な要素を組み合わせて決定することがポイントとなります。 以下のような組み合わせを基本として、各企業の業種特性、組織風土に合わせたバランスにすべきです。

階層 基本評価要素 項目 ウェイト
管理職 成績 業績目標達成度 70%
プロセス 役割達成度 30%
態度
一般職 成績 日常業務の量・質 50%
プロセス 基本能力 50%
職務能力
基本姿勢