人事賃金制度のススメ SALARY SYSTEM

1-4 個人別賃金水準分析で賃金相場とのギャップを把握する

経営シミュレーションで把握できた自社の賃金水準が、社外の環境と比較してどうなのかということも考慮する必要があります。
社員の生活水準を維持していくことや、同業他社、あるいは業界平均の水準などを加味した上で、賃金水準を決定します。

1. 基本給の分析

個別賃金の分析はプロット図を作成し行います。
まず、基本給の社内格差を把握するために基本給のプロット図を作成します。基本給プロット図は年齢、勤続と基本給を軸としたグラフであり、賃金決定の基本的な社内システムを確認します。社内における職種別、役職別の賃金格差をみることも重要です。

基本給

2. 所定内賃金を分析する

次に生計費データを含め、年齢または勤続年数と所定内賃金を軸に、プロット図を作成し分布をみます。これによって生活費とのバランスを検討します。
一般職は最低生計費のライン近辺に、管理職は修正標準生計費と愉楽生計費の間に分布するのが一般的です。

年収(賞与・残業手当含む)生計費比較

(1) 標準生計費 各地域における標準的な生活水準を求めることを目的として、総務省が実施している「家計調査」に基づき、各都道府県人事委員会等が算出する消費支出データ。
(2) 修正標準生計費 消費支出に「税金・保険料」の非消費支出を加えて、負担修正した実支出。ただし、貯蓄・投資を除く。
(3) 愉楽生計費 修正標準生計費のおよそ50%増。これを超えたラインが愉楽的な生活が可能な目安のひとつ。これを超えると支出項目の雑費のウエイトが急激に高まる。
(4) 最低生計費 修正標準生計費のおよそ20%減。健康や体裁を維持することが可能な目安のひとつ。このラインを下回ると消費支出に占める食料費のウエイトが高くなる。
5 単身最低生計費 修正標準生計費のおよそ40%減。単身者の最低生計費である。独身者ではなく被扶養者がいない者という解釈。
費目別・世帯別標準生計費(○○市)

(単位:円)

データを収集できれば、同業他社との比較も行なうべきです。

年収(賞与・残業手当含む)道内比較

(単位:千円)