人事賃金制度のススメ SALARY SYSTEM

2-4 事例に学ぶ業種別賃金制度

1. 小売業の事例

小売業で働く多くの社員は店舗の販売スタッフです。賃金制度も販売スタッフの職務内容を中心に組み立てることになります。
店舗に勤務するスタッフの業務の多くは、比較的短い期間で習熟できます。したがって賃金カーブは比較的早く立ち上げ、一定の水準でほぼ横ばいになるような設計になります。
小売業では、複数賃率が比較的多く使用されます。
なお、社員のモチベーション喚起と昇給は別の次元で考えることになります。

2. 製造業の事例

製造業に勤務する社員の多くは、製造現場に勤務する社員です。製造を中心に行っており、営業部門の社員がほとんどいない企業の場合と、営業社員を多く抱える企業では、賃金の組み立て方が異なります。
営業部門の社員がほとんどいない企業の場合は、製造、営業、スタッフの全職種共通の賃金体系とするのが望ましいといえます。
賃金表は段階号俸表を使用すると、柔軟な対応ができます。
一方、営業部門、スタッフ部門の社員も多く存在する企業においては、職種別に賃金表を整備したほうがよい場合もあります。製造拠点を全国展開している企業 では、特に地域間の現業職の賃金相場が異なりますので、職種別地域別の賃金表を作成するのが望ましいといえます。
賃金表は、段階号俸表、あるいはゾーン賃金表を使用するのが望ましいでしょう。

3. サービス業の事例

サービス業の範囲は広く、定型的なサービスを提供するサービス業と非定型的で高度なサービスを提供するサービス業ではおのずと賃金水準は異なります。
また、サービス業では、複数のサービスを提供する企業が多くあります。このような点から、サービス業にはゾーン賃金表が適しています。
職務の習熟に要する年数、個人の力量によってどの程度業績を左右するか、などの要素を加味して、ゾーンのレンジ(幅)を設定します。
ゾーンも4つ設定するか、2つ設定するかなどの選択肢もあります。

昇給率表