1. 人事考課時期と決算時期はそろえるべきか
人事考課制度を整備する際によく問題になるのは、人事考課期間と会社の決算期間の連動です。
結論的には、人事考課期間と会社の決算期間は一致させるべきです。目標管理制度や業績評価を取り入れる場合は、ほとんど必須事項になります。
経営と人事考課制度が遊離してしまわないようにするためには、とても重要なことです。
決算期が4月から翌年3月までの企業であれば、人事上の年度と経営上の年度が一致するため、さほど問題にはなりませんが、新入社員が入社する4月が人事上の年度であり、会社の決算が別の月である場合は、人事上の年度を決算期に合わせるくらいの覚悟が必要になります。
決算期間 | 人事考課期間 | 人事考課実施時期 | 人事考課結果の反映対象 |
---|---|---|---|
4月~9月 (上半期) |
4月~9月 (上半期) |
10月 | 冬期賞与 |
10月~3月 (下半期) |
10月~3月 (下半期) |
4月 | 夏期賞与 |
4月~3月 (通期) |
4月~3月 (通期) |
4月 | 昇給・昇格 |
2. 人事制度と連動した教育制度の作り方
人事考課制度の目的の一つには、人材の育成があります。人事考課制度の構築と運用を通して、会社が求める人材像を明示し、その人材像とのギャップを測定しながら社員の成長を促していきます。
しかし、人材の育成を図るには、OJTだけでなくoff-JTの仕組みも必要になります。
期待する人材像、職務基準、役割基準を満たす人材を育成するための教育制度も、併せて整備しておくことが大切です。
以下に一般的な教育研修カリキュラムを例示します。
3. 人事考課者訓練の実施方法
人事考課に対する社員の不満や不安の多くは、人事考課の公平性に関するものです。
具体的には、人事考課者の評価能力に対する不満や不安です。せっかくすばらしい人事考課制度が作られても、評価する人事考課者の評価基準が一致していなければ、人事考課制度はうまく機能しません。そればかりか、社員のモチベーションを下げてしまうことになりかねません。
このような意味において、人事考課者の定期的な教育はとても大切です。
人事考課者訓練は、以下の3点を目的に実施します。
- 自社の人事考課制度について、管理者の理解を深める
- 事例を通して管理者の人事考課に対する基準の擦り合わせを行う
- 人事考課者訓練を通して、人事考課者自身の成長を促す
人事考課者訓練には、共通の事例として市販されているビデオや、社内から集められた事例を題材として使用するとよいでしょう。
初回は、市販されているビデオを使用し、2回目からは社内で集められた事例を使用すると、より企業の実態にあった人事考課者訓練を実施できます。
時間帯 | 人事考課期間 |
---|---|
9:00~10:00 | オリエンテーション |
9:30~10:00 | 自社の人事考課制度の概要と管理職の役割 |
10:00~12:00 | 人事考課の基礎理論(途中10分休憩) |
12:00~13:00 | 昼食 |
13:00~13:30 | 目標面接 解説および事例ビデオ |
13:30~14:50 | 人事考課 ビデオ事例研究「○○○○」 |
14:50~15:00 | 休憩 |
15:00~16:30 | 人事考課 ビデオ事例研究「○○○○」 |
16:30~17:00 | 質疑応答、事務連絡 |
17:00 | 終了 |
4. 人事考課制度の定期的な見直し方法
人事考課制度は、企業の経営方針や事業の変化に合わせて変化しなくてはなりません。
特に、職務基準や役割基準を定めている企業にとっては毎年の必須事項になります。
職務基準、役割基準を定めていない企業であっても、近年のように経営環境変化が激しい時代においては、3年に1回程度の見直しは必要となるでしょう。