事務所通信 REPORT

事務所通信平成26年1月号

 新年、あけましておめでとうございます。みなさん、お正月はゆっくり過ごせましたでしょうか?わたしはテレビの前で、毎年恒例の箱根駅伝を観戦していました。チーム戦はむずかしいもので、学生記録保持者をかき集めてみても一等賞をとれるとは限りません。いかにバランスのよいチームを作れるかが肝になってきます。今年も、強い会社づくりのサポートをさせていただきたいとおもいます。本年も何卒、よろしくお願いいたします。

1.パワハラと職場環境配慮義務

●園長が、保育士らにパワハラ!~法人も共同不法行為責任(福島地裁H25.8.16)~

→ 保育園(社会福祉法人が経営)の園長(法人の理事)から、保育士等へのパワハラがあったという裁判がありました。裁判所は違法なパワハラがあったとし、当事者である園長のみならず、適切な対処をしなかった法人に対しても責任があるとし、連帯で損害賠償を認めました。

→ 原告が多く内容も様々ですが、主なものとして、園長から’バカヤロー”死んじまえ’等といった暴言(人格を否定するようなものも)があったようです。これらは客観的に社会通念上許容される限度を超え、不当な心理的負荷を蓄積させる行為とし、正当な目的合理的な理由はなく、職務行為を逸脱しており不法行為を構成するとされました。

→ 他方法人は、パワハラに対して相談態勢を整備したり、発生後は迅速な対応をする義務があり、放置や適切な対応をとらない場合は職場環境配慮義務(※)違反となるとされました。地裁での判断ではありますが、参考になります。

職場環境配慮義務とは?
労働契約法5条等に基づいて、企業が従業員に対して負う’働きやすい職場環境を保つように配慮すべき’義務のこと。

2.ブラック企業調査その後

●9月の「過重労働重点監督月間」の結果発表!~若者の’使い捨て’が疑われる企業等~

→ ここ最近話題になっているブラック企業対策の一環として、9月に一斉に行われた調査(※事務所通信9月号参照)の結果が発表されました。

8割超の企業において、36協定を超える時間外労働があったり、残業代が払われていなかったり等、なんらかの労働基準法他違反が確認されました。

【具体的にどんな違反?】

  • 係長職以上(“社員の7割にのぼる)を管理監督者として、割増賃金を支払っていなかった
  • 営業成績が悪い月は、基本給を減額していた
  • 労働時間が適正に把握できておらず、割増賃金の単価に含めるべき手当が除かれていた 等

→ 今回の調査対象先には、従業員からの申告による企業も多く含まれています。無料電話相談の中で多かった業種は、製造業商業接客娯楽業の順で多く、規模としては10人以上30名未満の企業が一番多くなっています。相談内容では、賃金不払残業が5割を占めトップです。

→ 厚生労働省は対策の一つとして、2015年春卒業予定の新卒者以降、ハローワークの求人票にて’離職率‘の記入欄を設ける予定です(記入は任意の予定)。

今月のトピックス

  • 70~74歳の医療費窓口負担、2割へアップ!~H26.4から~
    特例で1割に据え置かれていた窓口負担割合が、1割→2割へ戻る予定です。4月以降に70歳になる方が対象になるため、すでに70歳~74歳の方は1割のままとなります。
  • 次世代育成支援対策推進法、10年延長!?~一般事業主行動計画~
    少子化対策の一環として、仕事と子育ての両立を目的に10年の時限立法として作られ た次世代育成支援対策推進法が、さらに10年延長される見込みです。従業員101人以上 の企業においては’一般事業主行動計画‘の策定届出等の義務があるため注意が必要です。