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トラブルを未然に防ぐ労務管理のススメ

人事・賃金制度現状分析

1-1 人事・賃金制度の見直しは自社の制度分析からはじめる

1. 自社の人事制度類型分析で制度の本質的な問題点を把握する

自社の人事制度の見直しをする場合、まず最初に現在の人事制度がどのような類型であるかを確認することから始めます。

現在の賃金決定ルールがどの類型にあたるかを確認することにより、新たな人事制度の方向性を見出すことができます。

類型 内容
裁量型人事制度 経営者の裁量で、社員一人ひとりの属性、社内バランスなどを斟酌して総合的に賃金を決定する人事制度。
年功型人事制度 勤続年数、年齢によって賃金が決定される人事制度。
年功+能力型人事制度 併存型職能給ともいわれ、勤続年数や年齢と保有能力によって賃金が決定される人事制度。
成果型人事制度 社員の成果に応じて賃金を決定する人事制度。
職務型人事制度 職種別あるいは職務別に職務に見合った賃金とする制度。

このような類型をもとに、今後は何を基準に賃金に反映させていくのかを検討し、人事制度の基本的な考え方をまとめていきます。

2. 裁量型人事制度の問題点

裁量型人事制度は、オーナー企業、特にワンマン経営者が経営する企業に多く見られる人事制度です。また、創業後間もない企業にも多く見られます。

この人事制度は、少人数かつ1事業所で活動している企業に適している人事制度です。
概ね30名程度までであれば、経営者がすべての社員の行動を把握して、評価することも可能です。しかしながら、社員数が30名を超え、事業所も複数になってくると、経営者が社員個々人の行動を正しく把握すること自体難しくなってきます。

また、社員は自分がどのような基準で評価され、どうすれば自分の処遇が改善されるのかということについて、不満を持つようになります。更には、経営者のご機嫌を取っておけば処遇が改善されるという意識を持つようになり、風見鶏社員を醸成することになってしまいます。

社歴5年以上、社員数30名以上、多事業所展開している企業は、早急に裁量型賃金から脱却するべきでしょう。

メリット デメリット
  • 経営者の意向をダイレクトに処遇に反映できる
  • 処遇への反映を決定するスピードが速い
  • 判断する人が一人なので、基準は一定である
  • 経営者が必ずしも公平な評価をできる情報を収集できるとは限らない
  • 社員の不平不満が大きくなる
  • 経営者の方しか見ない社員が増える

3. 年功型人事制度の問題点

年功型人事制度は、勤続年数や年齢によって賃金を決定する人事制度です。1950年以降の高度経済成長時代に多くの企業で採用された人事制度です。

経済成長が右肩上がりであり、企業業績も経済成長と同程度の成長が見込まれた時代には合っていた人事制度でしたが、現在、年功だけで賃金決定する企業はほとんどなくなっています。

メリット デメリット
  • 社員の生計費をある程度カバーすることができる
  • 制度の運用が簡単である
  • 会社に対する貢献と賃金が連動しない
  • 人件費のコントロールが難しい
  • 社員のやる気を促す機能がない

4. 年功+能力型人事制度の問題点

年齢給あるいは勤続給+能力給で構成される賃金体系を持つ人事制度を能力型人事制度、あるいは年功能力並存型人事制度といいます。

1975年頃から多くの企業で採用され、現在もまだ採用されている数が多い人事制度です。
高度経済成長時代から安定成長時代に入り、ポスト不足、人件費コントール、信賞必罰の考えに基づき、日本の企業風土に合った人事制度でした。
しかしながら、1990年代以降の経済環境の構造的変化により、企業業績と人件費の関係のミスマッチが大きくクローズアップされるようになり、経営上の大きな問題の一つとして、職能型人事制度が取り上げられるようになりました。

多くの企業では、能力型といいながら実際には年功的運用に陥ってしまったことが、この能力型人事制度の問題の本質でした。今日の経営環境下においては、変化対応に弱いという側面もあります。

メリット デメリット
  • 年功だけでなく、保有能力によって賃金格差が生じるので、能力開発に対する意欲を喚起することができる
  • 年功と会社に対する貢献の2面から賃金を決定するため、ある意味においてバランスが取れている
  • 年功部分が大きく、昇給原資が少なくなればなるほど、大きな賃金格差がつかない
  • 保有能力が評価の対象となっており、評価が難しく、差をつけにくい
  • 等級数が多いため、等級定義の違いが不明瞭で、結果的に年功運用となってしまう

5. 成果型人事制度の問題点

1990年代、バブル経済崩壊後は、業績が短期間に著しく悪化し、固定費である人件費を支払うことが非常に困難になった企業が相次ぎました。

人件費を変動費化する手段として、短期的な成果に対して賃金を支払うという成果型(主義)人事制度の導入を進めた企業がありました。

その副作用として、優秀な人材の流出や、企業の中期的な成長と相反するような短期的成果を求めて行動する社員が増加するなど、多くの問題点も噴出しました。

企業は当然成果を挙げるために活動をしているのですが、「成果」という定義を明確にすることや、「期間」という考え方を整理すること、成果を求める階層と能力開発を求める階層の整理、成果型人事制度が相応しい業種か、という本質的な部分の検討を怠ると、組織の崩壊という大きな問題につながる劇薬的な人事制度です。

メリット デメリット
  • 短期的な成果に対する執着心を醸成する
  • 人件費の一部を変動費化できる
  • 人材の流動化を促進できる
  • 企業の中期的な成長を阻害する危険性がある
  • 社員の退職が増加する危険性がある
  • 組織の風土が荒れる危険性がある
  • 会社と社員の関係が極めてドライになる

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