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トラブルを未然に防ぐ労務管理のススメ

10 雇用調整の留意点

10-1 雇用調整の留意点H24.9現在

1. 退職を伴わない雇用調整

雇用調整は、

    1. 退職を伴わない雇用調整(時間外労働の削減、一時休業、採用の抑制・停止、配置転換、出向など)
    2. 退職を伴う雇用調整(希望退職、退職勧奨、整理解雇など)

に区分されます。

企業にとって、社員ほど大事な経営資源はありません。企業がここまで発展することができたのは、社員がいたからこそでしょう。
また、企業としては、社員の雇用を守るべき義務と責任があります。
周知のように、日本の場合、正規の社員については雇用期間を特に定めないで雇用するのが一般的です。雇用期間を定めずに雇用するということは、本人が退職を申し出ないかぎり、定年まで雇用することを約束したことになります。

したがって、経営が不振になって人員が過剰となり、雇用調整の必要が生じたからといって、ただちに「退職を伴う雇用調整」を行うのは適切ではありません。退職は、社員の生活に大きな打撃を与えてしまいます。

企業としては、「退職を伴う雇用調整」を行うまえに、時間外労働の削減、一時休業、採用の抑制・停止、配置転換、出向など、「退職を伴わない雇用調整」を幅広く、かつ、積極的に行うべきです。そして、それでもなお、人員の余剰が解消せず、しかも、近い将来において経営環境が好転する見通しがない場合に限って、「退職を伴う雇用調整」に踏み切ります。

雇用調整の実施手順

雇用調整の実施手順

2. 社員への説明と理解

雇用調整は、社員の生活に一定の影響を与えます。
例えば、仕事の量が少なくなったことや、経費の削減を図る必要性に対応して時間外労働(残業)を抑制することにすれば、社員にとって時間外労働手当(残業料)の収入が少なくなるでしょう。収入が少なくなれば、それに合わせて支出を抑制しなければなりません。
また、雇用調整の一環として、しばしば配置転換が行われます。配置転換は、人員に余剰が生じた部門から人員を必要とする部門へと社員を異動させるもので、人員の有効利用にもつながります。しかし、これによって社員は、働く場所が変更になったり、担当する仕事が変わったりします。

雇用調整の最後の手段は、整理解雇です。
整理解雇は会社側の一方的な意思で雇用契約を解除するものであるから、社員の生活に大きな影響を与えます。
このように、雇用調整は社員の生活に一定の影響を及ぼすものであるため、実施に当たっては、その必要性を社員によく説明することが必要です。そして、社員の理解を得たうえで、粛々と実施していきます。

雇用調整は、経営不振という危機的状況に対応して実施されるものです。社内には緊張感がみなぎっています。したがって、しばしば、「一刻も早く実施しなければタイミングを逸する」という理由で、社員への説明なしに経営側の一方的判断で強行されます。
社員の生活に影響を及ぼさない問題であれば、経営側の一方的判断で強行することも許されるでしょう。しかし、雇用調整は、社員の生活に一定の影響を及ぼすものですから、社員の理解を得たうえで行うのが筋なのです。

3. 法律の遵守

雇用調整のなかには、労働基準法などの法律によって一定の規制が行われているものがあります。 例えば、販売が不振に陥ったときに、社員を自宅に待機させ、操業を部分的あるいは全面的に停止することを「一時休業」といいますが、一時休業を実施するときは、平均賃金の60%以上を休業手当として支払う必要があります(労働基準法第26条)。
また、雇用調整のために中高年社員を子会社や関連会社に転籍させるケースがしばしば見られますが、転籍については本人の同意が必要です(民法第625条)。
さらに、経営不振に対応してやむを得ず整理解雇を行うときは、30日前までに予告するか、あるいは平均賃金の30日分以上の予告手当を支払わなければなりません(労働基準法第20条)。
雇用調整を実施するときは、法律を遵守することが必要です。

4. 総合的な不振対策

雇用調整は、経営不振に対応して講じられる措置ですが、雇用面での対策に限られるため、その効果には一定の限界があります。雇用調整だけで経営不振に対応できるというものではないのです。 雇用調整と並行して、経費の削減、収入の増大など、さまざまな対策を講じるべきである。

もしも、売上が減少したり、あるいは受注が落ち込んだりして経営が危機に陥ったときに、経営側が雇用面での対策のみにこだわり、他の対策を講じないとしたら、社員は、「どうして社員にだけ犠牲を強いるのか」と反発を示すでしょう。
しかし、雇用面での対策以外にもさまざまな経営不振対策を講じるのであれば、社員は理解を示すでしょう。
経営の不振や危機は、経営側の力だけで克服できるものではありません。経営者と社員とが一体となって真剣に取り組むべき問題です。
経費の節減、不用資産の売却、新しい販路の開拓など、さまざまな対策を講じるなかで、経営者と社員との間に一体感、連帯感が生まれ、不況克服のための活力が生まれるのです。

雇用調整以外の経営不振対策

対 策 対 策 例
経費の節減 交際費の削減
広告宣伝費の削減
光熱費の削減
原材料費、仕入価格の見直し
不動産賃貸料の見直し
外注費用の見直し
不用資産の売却 土地の売却
不動産の売却
有価証券の売却
ゴルフ会員権の売却
売上の増加 取扱い商品の見直し
新しい販路の開拓
販売価格の見直し
販売条件の見直し

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