神無月です。今年は特に、‘秋の長雨’という言葉がしっくりくるような、ぐずぐずとした天気が続いています。長雨の影響で、収穫目前の稲刈り作業にも影響が出ているようです。毎日の食卓に欠かせないお米ですが、この時期は特に、新米が出回ってなおさら食欲をそそられます。食欲の秋とはいえ、腹八分目を心がけ、食べすぎには注意したいものです。
1.有給休暇
有休日数の誤表示!?~大分地裁H28.1.12判決~
~労働条件通知書中の記載違いで、損害賠償~
→市町村合併に伴い市に編入された村の、中学校図書館の司書の方が、‘有給休暇の日数が本来よりも少ない日数分しか通知されておらず、有給を使えなかった’等として市を訴えた裁判です。勤務年数は、30年超とのことです。
→民間における労働条件通知書のような‘任用通知書’を交付する際、1年契約のため継続勤務性なしとして‘年休日数10日’と書かれた通知書が毎年交付されており、この日数が労働基準法の日数を下回っていたというものです。
【有給休暇の付与日数】※週5日以上or週30時間以上の場合
勤続期間 | 6ヶ月 | 1年6ヶ月 | 2年6ヶ月 | 3年6ヶ月 | 4年6ヶ月 | 5年6ヶ月 | 6年6月以上 |
付与日数 | 10日 | 11日 | 12日 | 14日 | 16日 | 18日 | 20日 |
→裁判所は、「労基法を下回る日数しかないように虚偽の情報を積極的に提供した」として、市の債務不履行を認め、欠勤控除された分の給与支払義務を認めました。なお、10日を超える部分について、当時、本人からの有休請求はなされていなかったようです。
→地裁の判決ではありますが、正しい知識が必要なことはもちろんのこと、記載違いがないか、再度確認が必要です。
2.社会保険
社会保険の加入対象者、大企業で拡大!~3/4未満のパート労働者も、社会保険加入へ~
→10/1から、一般被保険者数(短時間労働者を除く)が501人以上の事業所(特定適用事業所)において、社会保険に加入しなければならない対象者の範囲が拡大しました。
【短時間労働者】※新たに加入をする人(①~⑤すべて)
- ①勤務時間・日数が常勤の3/4未満
- ②週の所定時間が20時間以上
- ③雇用期間が1年以上見込まれる
- ④賃金の月額が8.8万以上
- ⑤学生でない
<実務上の注意点>
■区分変更
- → ‘一般被保険者’ ‘短時間労働者’ の区分が変更になった場合は「被保険者区分変更届」の提出要
- ※‘特定適用事業所’該当の有無、算定基礎届時等の基礎日数の計算方法に違いがあるため注意。
■障害者・長期加入の特例該当者
- →「解除届」の提出要(年金支給停止解除)
■二か所以上届出
- →複数の会社で被保険者になる場合は「二以上事業所勤務届」の提出要
→3年以内に、500人以下の事業所への適用拡大も検討されているため、事業所規模にかかわらず注意が必要です。
今月のトピックス
- 老齢基礎年金等の受給資格期間25年→10年に短縮!?~H29.10支給分から~
年金を受給するための加入期間が、短縮される予定です。当初は消費税10%と同時期とされていましたが前倒しとなり、今国会で成立すると来年秋から対象者が拡大する見込みです。
- 国民年金保険料、強制徴収対象拡大!~所得350→300万円以上へ~
国民年金保険料の滞納者に対して、強制徴収の対象となる基準が来年度も引き下げとなります。所得300万以上、かつ未納期間13ヶ月以上となり、こちらも対象者が拡大します。