事務所通信 REPORT

事務所通信平成25年11月号

 朝晩急に冷え込んできましたが、みなさんお風邪などひかれていなかったでしょうか? 年々 ‘夏’ の季節が長くなってきている気がするのと同時に、‘秋’ の気配を感じる瞬間が減ってきたような気がします。急な冷え込みは体にこたえますが、紅葉にはいい条件のようで、葉の色づきがよくなるそうです。桜通り沿いのいちょう並木は、今年も色づきが遅れているようです。寒い冬が来る前に、ちいさな秋を見つけに散策にいきたいとおもいます。

長時間労働と過労死

‘日本海庄’や、役員へ賠償命令!~月80時間の時間外手当を含む給与体系~

→日本海庄やの元従業員(当時24歳)が、入社4ヶ月後に急性心不全により死亡した事案につき両親が会社と役員を訴えていた訴訟で、最高裁の決定が出されました。会社側の上告を退け、会社と役員の責任を認めて約7,800万円(請求額約1億円)の支払いが命じられました。

→在職期間4ヶ月の時間外労働の時間数は月100時間を超え、労働基準監督署の過労死認定も受けいています。

→会社は月80時間の時間外手当分を給与に組み込んでいたのですが、この給与体系について
一審の 京都地裁にて「労働者の生命・健康に配慮し、労働時間が長くならないよう適切な
措置をとっていたものとは認められない」とされ、過労死の原因が長時間労働にあり、
会社の安全配慮義務違反が認められた点は、特筆すべき点です。

→原告側代理人によると、零細企業であればまだしも、実際に現場を見渡せているわけではない上場企業の役員個人の責任が認められる例はめずらしいとのことです。

時間外手当を払っていれば問題はない、というわけではなく、今後飲食業界へ与える影響は大きいものと思われます。

所得拡大促進税制

「所得拡大促進税制」、拡充(H26.4~)! ~従業員の給与を上げた場合の税金優遇~

→ 国は従業員の給与の上昇や雇用の拡大を狙って、給与や賞与の支給額をアップさせた場合の税額控除制度をこれまでよりも使いやすい形に変更しました。

<変更した点>
  • 期間を延長(H28年度末→H40年度末へ)
  • 給与等支給増加率の要件緩和(5%→1~2年目2%、3年目3%、4~5年目5%へ)
  • 平均給与等支給額の計算方法変更(日雇いのみ除外→新入社員、退職者等も除外へ)

【これまでの「所得大促進税制」とは?(H26.3まで)】

以下を満たせば、給与等増加額について10%の税額控除(法人税額10%(中小企業は20%)が限度)

  • 給与等支給額が基準事業年度より5%以上増加
  • 給与等支給額が前事業年度の支給額以上
  • 平均給与等支給額が前事業年度の平均給与等支給額以上

‘雇用促進税制’と、いずれか一方のみの選択性
※事前申請不要
解雇等があっても利用可能

今月のトピックス

  • 自動車運転者使用事業場の指導・送検公表~バス、トラック会社等~
    昨年のバス・トラック会社等の指導・送検の状況が公表されました。全体の82%の事業場で労働基準法違反が認められ、内容は労働時間・割増賃金・休日の順に多かったとのことです。重大、悪質で送検をされた事業場もあることから注意が必要です。
  • 認可保育所、利用しやすく~受け皿の充実が必須~
    少子化対策の一環として、今後は原則すべての就労(パートタイム、夜勤、在宅勤務等)について認可保育所の利用が可能になる見込みです。