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トラブルを未然に防ぐ労務管理のススメ

12 問題社員の法的対応

12-1 職場外での刑事事件を起こした社員H24.9現在

1. 職場外の行為であっても、刑事事件などを起こせば解雇されるのは当然では

使用者が、職務を離れた私生活上の行為に干渉して労働者のプライバシー、名誉、私生活上の自由を侵害することはできません。この観点から、私生活上の行動を理由とした解雇については、仮に刑事事件を理由とするものであっても、解雇事由に該当しないとか、解雇権の濫用になるとしてその効力が争われることがあり、解雇を無効とした判例はいくつもあります。

無効とされた例

  • 深夜酩酊して他人の家に入り込み住居侵入罪として罰金刑に処せられた従業員を懲戒解雇とした事案について、会社の業務等に関係ない私生活上の範囲内で行われたものであること、罰金刑にとどまったこと、従業員の職務上の地位が指導的なものでないことなどの諸般の事情を勘案すると、会社の体面を著しく汚したとまではいえないものとしたもの(横浜ゴム事件=最高裁昭和45年7月28日判決・最高裁判所民事判例集24巻7号)
  • 新聞社の印刷工が路上に放置された自転車を横領したことを理由に解雇された事案について、使用者に相当程度の損害を与え、またはそのおそれがあったとはいえないこと、行為の性質・態様のいかん、起訴猶予により事件が落着し新聞にも報道されなかったこと、また当該従業員の地位などに照らして懲戒解雇事由にあたらないとしたもの(日本経済新聞社事件=東京地裁昭和45年6月23日判決・労働関係民事裁判例集21巻3号)
  • 米軍基地拡張反対のデモ行動のなかで逮捕・起訴されたことを理由に懲戒解雇された事案について、会社の体面を著しく汚したとするには不十分であるとしたもの(日本鋼管川崎製鉄所事件=最高裁昭和49年3月15日判決・最高裁判所民事判例集28巻2号)

2. どのような場合ならば解雇が許されるのか

判例の多くは、その行為が業務に影響を及ぼしたり、あるいは会社の信用を棄損するなど、職場秩序を紊乱する場合には、解雇など、不利益処分の対象となしうるとの立場をとっています。必ずしも具体的な業務阻害の結果や取り引き上の不利益まで必要とするものではありませんが、当該行為の性質、状況のほか、会社の事業の性質、態様、規模、会社の経済界に占める地位、経営方針、その従業員の会社における地位、職場など諸般の事情から総合的に判断することになります(前掲日本鋼管事件)。

なお新聞沙汰になっていないこと、起訴猶予で終わっていることなどを理由に解雇を無効とした例もありますが(前掲日本経済新聞社事件)、それは諸般の事情を総合的に判断するなかのいくつかの要素にすぎず、公表されたり、起訴されたりしないと解雇の対象とならないということではありません。

有効とされた例

  • 凶器準備集合罪、公務執行妨害罪により懲役10カ月、執行猶予2年の有罪判決を受けて懲戒解雇された事案(理想社事件=東京地裁昭和51年7月20日決定・労働判例258号)
  • 模造刀を携帯して他人の住居に侵入し住居侵入、傷害などで罰金10万円の略式命令を受けて懲戒解雇された事案(昌栄産業事件=横浜地裁横須賀支部昭和51年10月13日判決)などでは解雇が有効とされています。強姦罪など性犯罪については多くが解雇有効となっています(丸和海運事件=神戸地裁昭和53年3月3日判決・労働判例301号、国鉄厄神駅職員事件=大阪地裁昭和55年8月8日判決・労働判例348号、大津郵便局事件=大津地裁昭和58年4月25日判決・労働判例409号)。暴力事犯については、そのいきさつ、態様、程度によって結論もまちまちですが、酒に酔ったうえでのけんかについては一般に寛大な傾向があるのか、解雇は権利濫用とされた例がいくつかあります(アサノ運輸事件=東京地裁八王子支部昭和46年10月16日判決・労働判例140号、平塚自動車学校事件=横浜地裁昭和57年3月4日判決・労働判例381号)。

などでは解雇が有効とされています。

強姦罪など性犯罪については多くが解雇有効となっています(丸和海運事件=神戸地裁昭和53年3月3日判決・労働判例301号、国鉄厄神駅職員事件=大阪地裁昭和55年8月8日判決・労働判例348号、大津郵便局事件=大津地裁昭和58年4月25日判決・労働判例409号)。

暴力事犯については、そのいきさつ、態様、程度によって結論もまちまちですが、酒に酔ったうえでのけんかについては一般に寛大な傾向があるのか、解雇は権利濫用とされた例がいくつかあります(アサノ運輸事件=東京地裁八王子支部昭和46年10月16日判決・労働判例140号、平塚自動車学校事件=横浜地裁昭和57年3月4日判決・労働判例381号)。

3. 交通事故とか酒酔運転、スピード違反などによる解雇は難しいか

事案の態様・軽重によることはいうまでもありませんが、交通事犯については、会社や当該従業員の業務の内容が運転業務に関するものであるか否かが重要なポイントになるといえます。

無効とされた例

  • 休日に飲酒のうえ歩行者を死亡させる交通事故を起こし、禁固10カ月執行猶予3年の確定判決を受けたことについて、解雇は均衡を失するとされたもの(住友セメント事件=福岡地裁小倉支部昭和48年3月29日判決・判例時報719号)
  • 業務外の道路交通法違反により起訴され罰金の略式命令を受けたことについて、解雇は重きに失するとされたもの(鳥取市農協事件=鳥取地裁昭和49年5月24日決定・労働判例203号)

有効とされた例

  • バス会社のバス運転手が休日に多量に飲酒したうえでマイカーを運転し、罰金刑に処せられた場合、バス会社として運行の安全確保を至上命令とし、日頃から従業員に対してきびしく注意していたなどの事情を考慮して解雇は有効とされたもの(千葉中央パス事件=千葉地裁昭和51年7月15日決定・労働経済判例速報930号)
  • 本人が酒気帯び運転をしたわけでなくとも、タクシー会社の運転手が同僚に酒をすすめて飲ませたうえ、同人の運転する自家用車に同乗するなどした事案について懲戒解雇事由である「酒気を帯びて自動車を運転したとき」と同等の行為と認められるとして懲戒解雇が許されるとした事案(笹谷タクシー事件=最高裁昭和53年11月30日判決・判例時報913号、その原審=仙台高裁昭和50年10月16日判決・労働関係民事裁判例集26巻5号)

4. 私生活上の問題となる行為、例えば異性問題などを理由とする解雇は

男女間の問題はあくまでも私的なものなので、さらに問題は微妙になります。
たとえば、ミッションスクールの女子短大の講師が未婚で子どもを出産したことを理由として普通解雇された事案について、教育の方針にもとり、学生らに悪影響を及ぼすので私生活上の行為であるとして看過することのできないものとして、解雇有効とした判例がありますが(大阪女学院事件=大阪地裁昭和56年2月13日決定・労働判例362号)、女子短大の講師という職務の特殊性に着眼してのことですから、他の職場、職種であれば、婚外子の出産を理由に解雇することはむずかしいと解されます。

なおセクシュアルハラスメントに該当するような行為については解雇は有効となる場合があります。コンピューター・メンテナンス・サービス事件(東京地裁平成10年12月7日判決・労働判例751号)は、抱きついたり、胸に触ったという行為について、懲戒解雇を有効としています。また、セクシュアルハラスメントがいわれるようになる前の裁判例ですが、観光パスの運転手が同乗勤務するバスガイドに情交を強要した場合の懲戒解雇(日本周遊観光バス事件=大阪地裁昭和58年10月18日判決・労働判例419号)、同一作業に従事している精神薄弱の女性従業員にわいせつ行為を行なった場合の懲戒解雇 (大久保製壜事件Ⅱ東京地裁昭和59年4月26日判決・労働判例435号)が有効とされています。

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